人権侵害とその歴史

ハンセン病回復患者の現状

現在でも全国13の国立療養所を中心に約4,700人のハンセン病回復者が生活しています。 入所者は、ハンセン病自体は治癒していますが、過酷な処遇による後遺症を抱えています。
回復者に必要な医療的支援はいまも満足できる状況ではありません。平均年齢は、既に74歳に達し、経済的に自立することは困難な状態にあります。
収容される際、家族に対する差別を恐れて故郷では亡くなったことにしてあったり、家族とは二度と会わないことを約束したりしているため、自由に故郷に帰ったり、ましてや故郷で生活することなどできるはずがないのです。社会復帰された方々もハンセン病をひた隠しにして、ひっそりと暮らしているのが現状です。

療養所内で亡くなった方の大半は、故郷の墓に入ることがかなわぬまま、いまも2万3000を超える遺骨が全国のハンセン病療養所内にある納骨堂に納められています。

入所者の読んだこんな一句があります。

「もういいかい 骨になっても まあだだよ」

被害は依然として回復していないのです。